時刻管理

時刻管理

1. 機能概要

本製品は、日付・時刻を管理する仕組みとして、以下の機能を提供します。

  • ユーザーが手動で日付・時刻情報を設定する機能

  • ネットワークを介して日付・時刻情報を自動的に設定する機能

  • タイムゾーンを設定する機能

  • サマータイム(DST:Daylight Saving Time)を設定する機能

2. 用語の定義

UTC(Coordinated Universal Time)

全世界で時刻を記録する際に使われる公式な時刻のこと。
世界各国の標準時はこれを基準として決めています。
日本の場合、日本標準時(JST)で、協定世界時より9時間進んでおり、「+0900(JST)」のように表示します。

SNTP(Simple Network Time Protocol)

SNTPパケットを利用した、簡単な時計補正プロトコル。
RFC4330で規定されています。

3. 機能詳細

3.1. 日付・時刻の手動設定

clock set コマンドを使用して時刻を直接入力します。

3.2. 日付・時刻の自動設定

指定したタイムサーバーから日付・時刻情報を収集し、本製品に設定します。
通信プロトコルとしては、RFC4330で規定されるSNTP(Simple Network Time Protocol)を利用します。
タイムサーバーは 2つまで 指定でき、IPv4アドレス、IPv6アドレス、FQDN (Fully Qualified Domain Name) のいずれかを指定できます。
SNTPクライアントのポート番号は、123番を使用します。(ユーザーが設定を変更することはできません)
日付・時刻の自動設定の方法として、 ntpdate コマンドにより以下の2つから選択できます。

  • ワンショット更新(コマンド入力時に更新をかける機能)

  • インターバル更新(コマンド入力から更新を1~24時間の周期で行う機能)

タイムサーバーを2つ設定した状態で時刻同期を行った場合、 show ntpdate コマンドで表示される NTP server 1, NTP server 2 の順番で問い合わせを行います。
NTP server 2 への問い合わせは、 NTP server 1 との同期に失敗した場合のみ行われます。
初期状態では、インターバル更新周期として 1時間 が設定されています。
ただし、システム起動後、時刻の初回設定ができない状態では、インターバル周期時間に関係なく、1分周期でタイムサーバーに対して問合せを行います。
なお、タイムサーバーとの同期は、サンプリング数(サーバーからの応答回数)が1回、タイムアウト1秒で動作します。
コマンド実行中はブロックされ、タイムアウトが発生すると、エラーメッセージを出力します。

3.3. タイムゾーンの設定

生活拠点としている地域の時刻を管理するために、clock timezoneコマンドにより、使用するユーザーのタイムゾーンを管理し、時刻に反映します。
タイムゾーンは、協定世界時(UTC)に対して±1時間単位で設定でき、その範囲は-12時間から+13時間とします。
本製品のタイムゾーンの初期値は、 +9.0 となっています。

3.4. サマータイムの設定

clock summer-time コマンドで、ユーザーがサマータイム(DST:Daylight Saving Time)を設定することができます。
指定するパラメーターは以下のとおりです。

  • タイムゾーン名
    サマータイムが施行されているときに表示するタイムゾーンの名前です。

  • サマータイムの開始時刻と終了時刻
    時刻の指定方法は以下の2つから選択します。

    • 繰り返し (recurring)
      毎年同じ期間を繰り返すように、月の週と曜日を指定します。

    • 日付指定 (date)
      実際の日付を指定します。

  • オフセット
    サマータイムの間に追加する時間(分)です。
    指定可能な範囲は 1 ~ 1440 分です。指定がなければ 60 分 となります。

サマータイムは重複設定できません。
サマータイムの設定内容は、show clock detail コマンドで確認できます。

4. 関連コマンド

関連コマンドについて、以下に示します。
詳細は、コマンドリファレンスを参照願います。

操作項目 操作コマンド

時刻の手動設定

clock set

タイムゾーンの設定

clock timezone

サマータイムの設定(繰り返し)

clock summer-time recurring

サマータイムの設定(日付指定)

clock summer-time date

現在時刻の表示

show clock

NTPサーバーの設定

ntpdate server

NTPサーバーによる時刻同期(1ショット更新)

ntpdate oneshot

NTPサーバーによる時刻同期(周期更新設定)

ntpdate interval

NTPサーバーによる時刻同期設定情報の表示

show ntpdate

5. コマンド実行例

5.1. 時刻の手動設定

タイムゾーンを JST に設定し、現在時刻を 2014.01.21 15:50:59 に設定します。

Yamaha#configure terminal
Yamaha(config)#clock timezone JST (1)
Yamaha(config)#exit
Yamaha#clock set 15:50:59 Jan 21 2014 (2)
Yamaha#show clock (3)
15:50:59 JST Tue Jan 21 2014
1 タイムゾーンの設定
2 時刻の設定
3 現在時刻の表示

5.2. 時刻の自動設定

タイムゾーンを +9.00 に設定し、NTPサーバーとしてローカルの 192.168.1.1ntp.nict.jp を設定します。
また、NTPサーバーとの更新周期を 24時間に1回 になるように変更します。

Yamaha#configure terminal
Yamaha(config)#clock timezone +9:00 (1)
Yamaha(config)#ntpdate server ipv4 192.168.1.1 (2)
Yamaha(config)#ntpdate server name ntp.nict.jp (3)
Yamaha(config)#ntpdate interval 24 (4)
Yamaha(config)#exit
Yamaha#show clock (5)
10:03:20 +9:00 Mon Dec 12 2016
Yamaha#show ntpdate (6)
NTP server 1 : 192.168.100.1
NTP server 2 : ntp.nict.jp
adjust time : Mon Dec 12 10:03:15 2016 + interval 24 hours
sync server : 192.168.100.1
1 タイムゾーンの設定
2 NTPサーバーの設定
3 NTPサーバーの設定
4 NTPサーバーとの周期更新を24時間に設定
5 現在時刻の表示
6 NTPによる時刻同期設定の表示

5.3. サマータイムの設定

5.3.1. 繰り返し

サマータイムが毎年 3 月の第二日曜の 2 時に始まり、11 月の第一日曜の 2 時に終わるように設定します。

Yamaha#configure terminal
Yamaha(config)#clock summer-time JDT recurring 2 Sun Mar 2:00 1 Sun Nov 2:00 (1)
Yamaha(config)#exit
Yamaha#show clock detail (2)
Fri Jan  1 00:00:20 JST 2021

Summer Time
  Type   : Recurring
  Offset : 60 (min)
  From   : Sun Mar 14 02:00:00 JST 2021 (3)
  To     : Sun Nov 7 02:00:00 JDT 2021
1 サマータイムの設定
2 サマータイムの設定確認
3 次(または現在施行中)のサマータイム期間の実際の日付を表示
5.3.2. 日付指定

サマータイムが 2021 年 3 月 14 日の 2 時に始まり、2021 年 11 月 7 日の 2 時に終わるように設定します。

Yamaha#configure terminal
Yamaha(config)#clock summer-time JDT date Mar 14 2021 2:00 Nov 7 2021 2:00 (1)
Yamaha(config)#exit
Yamaha#show clock detail (2)
Fri Jan  1 00:02:54 JST 2021

Summer Time
  Type   : Date
  Offset : 60 (min)
  From   : Sun Mar 14 02:00:00 JST 2021
  To     : Sun Nov 7 02:00:00 JDT 2021
1 サマータイムの設定
2 サマータイムの設定確認

6. 注意事項

特になし